2012年2月10日金曜日

RADAC ブレーキキャリパー交換

RADAC RD-1000の標準装備ブレーキシステムはシマノ新600EXのレバーBL-6209とキャリパーBR-6208。状態はかなり良く外観はほぼ新品同様、80年代の国産品なのでむしろ今の物より仕上げが良いくらい。シングルピポット構造なので現在主流のデュアルピポットより絶対的な制動力の面で劣るのは仕方が無いのですが、動作が滑らかでガタツキやたわみも気になるほどでは無いので効き自体も決して悪くは有りません。
BL-6209

BR-6208

上記のような状態なのでシューとシューホルダーのみ現行世代に交換して継続使用することも考えたのですが、唯一の不満/問題点が「リターンスプリングの強さ」、動作自体は滑らかですがバネレートが高くレバーの引きにかなりの握力を要します。街乗り程度なら何とかなるのですがロングライドだと疲労の出る後半で厳しいのと、個人的に一番多用するブラケットポジションではレバーに力を掛けにくいので更に苦しくなります。スプリングのみより柔らかい物を探して交換することも考えましたが流用出来るものを見つける事は出来ませんでした。

自転車の多くの部品がそうであるようにブレーキシステムにも過去と現在とで一定の互換性があり、取り付け部分の構造や寸法は変わっていないので基本的には丸ごと取り替えてしまえば現在の物をそのまま使うことが出来ます。ですが世代ごとに使われている技術とその仕様が変遷しているので、レバーとキャリパーの組み合せに関しては注意が必要です。

新600EXの時代から現在に至るシマノ製ロード用ブレーキの技術は、大まかには以下のように発展して来ました。

1.SLR(Shimano Linear Response)の導入:それまでキャリパー側のみだったリターンスプリングをレバーとキャリパーの両方に分散、ローフリクションワイヤー等と組み合わせることでより軽い引きとコントロール性の向上を実現。その後スーパーSLRに改良されて現在に至る。

2.デュアルピポット構造の導入:キャリパーのアーム支持点を中央の1つから側方部との2つに増やして片効き防止の中心調整を行い易くし、同時にアーム比の増大で制動力を向上。

3.キャリパー自体の剛性向上:アームがすっきり細身からがっしり極太へ。

この3つが大きな変更点です。これに加え、現行の7900/6700/5700/4600世代では、

4.”新スーパーSLR”の導入:キャリパーとレバーの組み合わせに於ける引きとアーム動作量の対応関係が変更に

が行われました。このように技術仕様が変化しているため、原則的には同一世代/同一技術の製品同士でレバーとキャリパーを組み合わせる必要があり、それ以外ではメーカー非推奨の組み合せとなります。

その他の改良点として、

5.シューのコンパウンドの改良

も制動力向上に大きく寄与しています。特に現行のシマノ純正R55C3シューは効きとコントロール性能に定評が有ります。

ここまでは原理原則のお話で、以下は非推奨の組み合せでの話になります。


自分の場合、抱えている問題点は主にリターンスプリングの強さとそれに対する握力の不足。単純に握力を鍛えて克服…という手も有りますがそれはそれで厳しいので、機材面での解決を狙う事にします。

ブレーキレバーのBL-6209は気に入っているパーツで出来れば継続利用したいので、この非SLRレバーとSLR以降のデュアルピポットキャリパーを組み合わせて試してみることにします。但し前述4.の変更により現行世代とそれ以前のレバーとの組み合せではアーム比の変更に起因する効き過ぎの傾向が出るとの事なので、現行より1つ前の7800/6600/5600/4500世代かそれ以前のキャリパーから選ぶ事にしました。

この中での本命は7800Dura-Aceかその一つ下の6600アルテグラなのですが、流石に高価なので他のものでまず試してみる事にし、105の2世代前の製品、BR-5501の中古美品を入手。清掃と注油の簡単なメンテを行い取り付けてみました。キャリパーそのものの違いを知りたいので、シューは以前取り付けたBBB製の廉価版をそのまま使ってテストしました。



結果としてはレバー側にリターンスプリングの無い非SLRレバーとの組み合せなので、引きがとても軽くなりました(かなり劇的に)。ブラケットポジションでも楽に制動操作を出来るようになり、非力な自分にはかなり扱い易い印象です。心配だった「リターンスプリングが弱過ぎてレバーの戻りが不十分になる可能性」も特に問題になるほどではなく、ゆっくりや急な操作など色々試しましたがきちんと動作しているようです。まず交通量の少ない近所で、次いでCRでトリプルクランクのテストを兼ねて50kmほど乗って試しましたが実走行でも特に問題無しでした。一方で制動力自体はさほど大きく変わった印象は無く、意外に旧600キャリパーも健闘していたようです。

キャリパーブレーキに関する参考資料のリンク

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